本編

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 大学が終わるといつもの場所にユウがいなかった。  昨日のことを本気にしたらしかった。  確かにユウに風邪を引かれるのは嫌だし良かったといえば良かったんだけど、やっぱり急にいなくなられるとすごく寂しい。  今日が土曜日だから明日になれば会えるし、その時に散々怒ってやろうと思った。  こんなことを思うなんてほんとに自分はユウにイカれているらしい。  かっこわるいなぁ。  私のキャラじゃないよ。  そう思って、ふと昨日見た夢を思い出した。  麻薬ってやると性格とか変わっちゃうんだよね、キレやすくなるとかさ。  ユウが言ってたのってこういうことだったのかな?  首をかしげながら家に帰って、ユウのケータイに電話をかけた。  ケータイは留守番電話になっていて何度かけても持ち主にはその電波を繋げてはくれなかった。  ユウが出ないことが分かるととたんに眠気が出てきた。  まだ寝るには早い時間なのに、本当に現金だなぁ。  苦笑して私は寝る仕度を整えて布団に潜り込む。  ユウと一緒に寝るときの布団は暖かくて、すぐに眠れるのに今日の布団は冷たかった。  普通の男は知らないが、ユウは一緒に寝るとき、ホントにただただ私にしがみ付いて、赤ちゃんみたいに背中を丸めて、他に何もしないで寝ることがほとんどだった。  ユウはどちらかというと情事よりも触れ合いを求めることが多く、ホントにお子様だった。  私としてもそんな風に私にしがみ付いて甘えきって眠るユウが大好きなのだ。  そして私はユウの体温を思い出しながら眠りについた。
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