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冬、寒くなってきた。
もう十一月だもん。寒いのは当たり前。
隣を歩くユウも寒そうに身体を丸めてうなっている。
大学の帰り道。
辺りはすっかり暗くなってきている。
「あーさむいさむい。さむくないのか? ミナ」
隣でユウが騒いでいる。
何を間違ったのか私はこんなのと付き合っている。ユウは一言で言うと子供だ。言動も、顔つきも、身長までがお子様サイズだ。
本当に何を間違ったのか。
「ミナさーん、無視っすカー?」
ユウは私の前で手を振り始めた。
いい加減ウザったい。
私はため息をつくと相手をしてやることにした。
「あのねユウ、冬なんだから寒いのは当たり前でしょ。くだらないことうだうだ言ってても何もならないよ? それとも、寒い寒いって言ってたら暖かくなるの? 変わらないんだったら言ってても無駄。煩いだけ」
そう言って切って捨てる。
ユウは一瞬傷ついた顔を見せたけど、すぐに笑顔になって追いかけてきた。
「でもさ、あったかくなるかもしれなくない? わかんないじゃん」
そうやって笑いながら言う顔はまだ高校生みたいでこっちは呆れてしまう。
「ねぇ、ユウ」
だから私は言いたくなってしまう。
「つまんない」
あぁ、わたしもまだまだ子供だなぁ。
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