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ある日いつものように4人でお昼を食べていたときのことだった。
私たちの学校は共学の公立には珍しく男女が分け隔てなく一緒にいたから、男子だけのグループとか女子だけのグループとかがなく、たいてい男女入り混じって行動することが多かった。
いつものようにお弁当をつついていると、
「なぁ聞いたか、あの二人付き合ってんだと」
「へぇー、まじで? いいなぁ」
ケンとユウが話しているのが耳に入った。
私は少し驚いてユウをマジマジと見てしまった。
ユウがそれに気づいて首を傾げてくる。
「どうかしたか? ミナ」
「え? いや、ユウがそういうの興味あるのが意外だっただけ」
「なんだそりゃ。一応俺、思春期の少年なんですが。無い訳ねぇだろが」
「ユウ君は好きな子とかいないのぉ?」
ユキが目を光らせて聞いている。
「いないけど?」
「いないの?」
つい聞いてしまった。
「え?」
ユウが、そしてケンとユキも私を見てくる。
「いないけど」
ユウが繰り返して答える。
「なんで? いなかったらおかしい?」
「いや、そういうわけじゃないけど、いないのにそんな話をするからさ」
「なんだそりゃ。いなくてもするだろ、こういう話題って」
「え? そうなの?」
当時の私は恋愛になんかまったく興味なくて、当然そんな興味がない物の話をしたことがなかった。
「ま、でも俺は興味あってもしようとは思わないけどさ、恋愛なんか」
ユウは食べ終わったお弁当を片付けながら言った。
「お前の場合はしないんじゃなく出来ないんじゃないのか」
そう憎まれ口を叩くケンもすでにお弁当を食べ終わっている。
ちゃんと味わっているのか疑問になる早さだ。
「じゃかぁしい」
言いながらユウはかばんからパンを……ってまだ食べるの?
「みんなすぐ彼女とか作るけど疑問だよな。分かっててやってんのかってさ」
そしてパンにかぶりつく。
「……何がって聞いて欲しいのか? それは」
「ふぁふが、ひょふわはっへるへ、へん」
さすが、よくわかってる ね、ケン……かな。
「喰いながら話すな。まず飲み込め」
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