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ケンはユウに渇を入れると自分もかばんからパンを取り出した。ってケンも食べるの? 男の子ってすごいなぁ。私のなんかユウたちのお弁当の半分くらいしかないのに、もうお腹いっぱいだよ。
そうこう考えているとユウが口の中のものを飲み込んで話し始めた。
「恋愛ってさ、しょせんは麻薬みたいなもんじゃん? 相手に依存して生きる。相手に好きでいてもらって生きる。必要だと想ってくれている人のそばで生きる。自分を必要だと言ってくれる人のそばで生きる」
ユウはそう言ってパンを少しかじった。
そしてケンのほうをちらりと見てあわてて飲み込んだ。
「でも、恋愛って麻薬と違って人に対して悪く働かないよ?」
「本当にそうか?」
ユキに挑戦的な笑みを向けてユウは答えた。
「え……?」
「たとえば、だ。恋人が倒れたとする。重い病気かなんかにしよう、感染病とかな。そしたらその片割れはどうなる?」
「どうなるって、そんなのその恋人が心配でしょうがないでしょ」
私が言うとユウは私をビンゴ、と指を差した。
「その通り。じゃあその後は?」
「その後……?」
どうなるだろうと思っていると、
「会いたくなるよね」
ユキが横から答えた。
むぅ、私が言いたかった。
「そうだな、でも本来なら命の危険があるから行かない。いや、行けないよな」
ユウがそう言うとケンは首をかしげながら、
「でも、オレだったら行くけどな。彼女が苦しんでんのにひとりで指をくわえてるのは嫌だぜ?」
するとユウは、今度はケンを指差した。
「それなんだ」
「は?」
「どうゆうこと?」
ケンとユキは分からなそうに聞いている。
かくいう私もユウが何を言いたいのかさっぱり分からない。
「普通生物なんてな生きることを優先させるシステムだ。なのにケンは自分が死んでも彼女のそばにいることを優先させた。これで分からなかったら他にもある。」
ユウはまたパンをかじって今度はそのまま飲み込んだ。
のどに詰まらすよ、普通。
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