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ユウは気分が乗ってきたのか片膝を抱えてポーズをとって話し始めた。
何なんだろう、この子は。
「例えば、すごく好きだった恋人が死んでしまった。そしたらどうする?」
ユウは私に聞いてきた。
「え? どうするって……」
いきなり振られても困るよ。
あわてて考える。
「えーっと……さっさと忘れる?」
「「「…………」」」
何かみんなに変な目で見られた。
「ま、まぁそういう奴もいるよな。他は?」
またしばらくシンキングタイム。
「オレならその恋人を想って彼女は作らないかな」
「あたしもー」
ケンとユキも答える。
なるほどー、そんなことするのかー。妙に感心してしまった。
「ま、普通はそうなるな、後は極論で後を追って死ぬとか、ミナが言ってるみたいに新しい恋を探すとかな」
まだユウの言ってることの見当がつかない。
「ミナが言ったのは例えるなら麻薬をやめさせられたが、やっぱり麻薬をやめきれずもう一度手を出してしまう。ケンやユキが言うのだって動物の持つべき生産行為を捨てるってことになる。後を追って死ぬのだってそうだ。結局中毒になって恋人──恋をくれる存在がないことに我慢できなくなって自殺してしまう。そうならないか?」
「極論過ぎる。それで? って感じだ」
ケンは一言で切って捨てた。
「たしかにケースバイケースだけどな。でも麻薬だって医療に使われるのもあるし、癖になりにくいものだってあるんだ。でも間違って酷いのを飲むと、」
落ちる、そう言ってユウは指を下に向けた。
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