出会い

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「あ…あの…」 どうしてこんな寒そうにしてる人を後目に、通り過ぎて行けるのか… やっぱり世の中は変わったな。 「寒い…ですよね?どうしました?」 顔を上げたその人は、すっごく綺麗で真っ黒な瞳が俺を捉えた。 「…………」 無言で俺を見上げるその瞳は涙で揺らいでいて、益々放っておくことが出来なくなった。 「寒いでしょ、帰る場所は?」 誰かを待ってるようには見えない。 「……………捨てられた」 その言葉に耳を疑った。捨てる?人間を?なんで捨てるのか。 「…………あの、寒いでしょ家においでよ」 細い腕を引っ張ると、力を振り絞るかのように振り解かれた。 「触らやんでっ…止めてや…どうせあんたも興味本位なんやろ、また要らなくなったら捨てるんやろ」 そんなことを言われるとは思ってなかった俺は驚愕した。 興味本位で人を拾って、要らなくなったら捨てると言う意味がわからなかった。
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