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青「………」
詩「………」
学校からの帰り道。二人は無言で歩いていた。
青葉は占いのことが気になっていて。
詩織はそんな青葉の様子が気になっていて。
お互いに声をかけられずにいた。
詩「…ね、青君」
青「うん?」
詩「大丈夫だよ。青君がもし誰かと戦うことになったら、私も戦うから❗」
青「詩織…」
詩織は青葉の不安を吹き飛ばせるよう、精一杯の笑顔を見せた。
ありがとう、詩織。
その言葉は恥ずかしくて言えない。
だけど、本当に感謝してる。
口に出せない分、青葉も精一杯の笑顔で詩織に応えた。
?「おーおー、カップルが見せ付けるねぇ」
と、その時、背後から突然現れた男が、青葉達に話しかけた。
青「…何だよ、あんた?」
青葉はその男を睨みつけた。
制服から見て、同じ学校の生徒だろう。
身長はゆうに180を越えている。
ガタイもいい。
何の用にしても、きっといい話ではないだろう。
青葉は詩織の位置を確認し、身構えた。
?「そういきり立つなよ。俺ぁそっちの女の子に用があんだよ」
大柄の男は詩織の方をちらっと見た。
詩「御堂先輩…」
青「詩織、知り合いか?」
詩「うん。三年生の御堂龍章(みどうたつあき)先輩。その…少し前に、告白されたの////」
詩織は頬を軽く赤くした。
彼女は可愛い。
故にモテる。
告白されることが、頻繁にあるのだ。
だが、詩織は告白を全て断っていた。
恋愛をするつもりなど、毛頭なかったのだ。
青「そーゆーことか。で、何の用ですか先輩?告白の腹いせに喧嘩でも売りに来たんですか?」
龍「ククク…当たりだよ」
御堂はそう言い、突然青葉を殴り付けた。
青「∑ぐっ⁉」
頬を殴られた青葉は、横のブロック坪にたたき付けられた。
詩「青君‼∑あっ⁉」
詩織は青葉の元へ駆け寄ろうとしたが、御堂に腕を引っ張られた。
詩「は、離して下さい‼」
龍「いいぜ。けど、そしたら彼氏、ボコッちゃうよ?」
詩「⁉」
龍「あんたが大人しくついてくりゃ、彼氏は見逃してやるよ?」
詩「………」
青「だ…めだ……詩織‼」
詩織を助けなきゃ❗
だけど、足がいうことをきかない。
青葉はその場に膝をついた。
詩「…わかりました」
龍「わかりゃいいのよ。じゃ、行こうか」
御堂に手を取られ、詩織は御堂と共に歩いていった。
青「ぐっ…詩織ー‼」
動けない青葉は、それを悲痛な表情で見ているしかなかった。
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