目覚め

9/18
前へ
/564ページ
次へ
龍「ほれ、入んなよ」 詩「………」 地下へと続く薄暗い階段。 その階段の先にある扉を開けると、ギターやドラムの音がいっそう騒がしく響き渡っている。 詩織は部屋を見回した。 さほど広くない部屋に、晴欄高校の生徒と思われる人物が10人程見られた。 「あ、御堂さんじゃないッスか。誰スかその可愛い子?」 御堂と詩織の存在に気付いた一人の男が、御堂に話しかけて来た。 龍「あれだ。例の…」 「…ああ、この子が」 詩「…?」 詩織は何のことかわからなかった。 だが、すごく嫌な予感がした。 龍「…さて、と。おい❗お前ら‼」 御堂は突然、大きな声で一喝した。 御堂の声に反応し、部屋にいた全員が御堂に注目した。 龍「連れて来てやったぞ‼犯され希望の女をよ‼」 詩「…え?」 御堂の一言に、部屋全体がざわついた。 詩織だけが、現状を理解できずに立ち尽くしている。 「その子ヤッちゃっていいんスか⁉」 龍「ああ。使い物にならなくなるまでな」 「マジ⁉俺からヤらせろよ❗」 「バカ❗最初は俺だ‼」 男達が本能をさらけ出す。 そんな情況でも、詩織は冷静だった。 いや、情況がつかめず、冷静にならざるを得なかった。 …オカサレ?オカサレって何?私はどうなるの? ヤるって…エッチするってこと? じゃあオカサレって…犯されるってこと? 私は…犯されるの? 「おら❗こっち来い‼」 詩「∑あっ⁉」 詩織が結論に達したその瞬間、彼女は強く手を引っ張られ、押し倒された。 「おら‼大人しくしろ‼」 詩「やめて‼痛いよ‼」 両腕を無理矢理押さえ付けられ、詩織は身動きが取れなくなった。 怖いよ…こんなのヤダよぉ… 青君…助けて‼ 青「っあああああ‼」 その時、詩織の心の叫びに応えるように、青葉が扉を蹴破って現れた。 詩「あ、青君‼」 青「詩織‼」 青葉は一目見て情況を理解した。 青「お前ら…詩織から離れろ‼」 龍「落ち着けよ、彼氏」 今にも飛び掛からんとする青葉の背後から、御堂が腕を組みながら話しかけて来た。 青「…御堂ぉぉ‼」 龍「っぜぇんだよ‼」 青「∑がっ⁉」 御堂に飛び掛かった青葉だが、御堂の反撃を喰らい、後方に倒れた。 詩「青君‼」 龍「ウゼェんだよテメーは❗そこで彼女がヤられるとこ黙って見てろ‼」 詩「いやぁ❗やめてぇ‼」 詩織の服が無理矢理破かれる。 俺はまた、詩織を守れないのか? そしたら俺は…最低の男だ‼ 守ってみせる…絶対に‼ その時、青葉の中で何かが弾けた。
/564ページ

最初のコメントを投稿しよう!

646人が本棚に入れています
本棚に追加