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五月。ゴールデンウイークという生徒にとっての休息がある他、少し暑くなる日が多くなってくる。そんな一月。
しかし南火の学校には違う生徒の休息、ていうかイベントがある。それは、
「えーと、これから修学旅行の役割を決めます!」
黒板の前で、チョーク片手に春風が言った。
そう、修学旅行だ。ゴールデンウイークが終わって五日で行く事になっている。
『なあ南火、修学旅行って楽しいのか?』
興味津々にティアが訊いた。南火は小声で適当に答える。
「楽しいよ、物凄く。ティアが今まで一番楽しいと思えるくらい楽しい」
『ほう、それは楽しみだな』
満足そうに頷くティア。
南火は春風の話を聞かないでぼーっとする。こういうのは勝手に人が決めてくれる物だ。
「――でいいよな南火」
いつの間にか隣にいた恭介が、南火の肩をポンと叩いた。
そして南火が何かを言う前に、まるで南火に発言させないように、恭介が叫んだ。
「よぉし!肝試し係決定!」
瞬間、イエーイ!とクラスに歓声が上がる。
硬直した南火が状況を把握するヒマもなく、話はどんどん進んでいく。
そんな様子を見ていたティアは、わけがわからず小首を傾げた。
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