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大和 「いかにも……な部屋ですね。」
パソコンがいくつも並んでいる。
近未来的、という言葉が当てはまる光景だ。
静香 「このヘルメットをつけて、こちらのイスに座ってください。」
大和 「あ、ハイ。」
渡されたヘルメットをかぶる。
コードとかが付いているだけの普通のヘルメットだ。
大和 「今から何をするんです?」
葛西 「脳波検査とカードとの適合性を調べる。まあ、気楽に受けてくれ。」
大和 「はい……。」
カタカタとパソコンに何かを入力する博士。
数分後、検査は終わったようだった。
葛西 「ふむ……。検査終了じゃ。」
静香 「ヘルメットを。」
大和 「はい。」
静香さんにヘルメットを渡した。
事務的な動きで博士のサポートをする彼女。
葛西 「検査は終了したが……何か聞きたい事はあるかね?」
大和 「……あのカードは何なんです?」
葛西 「ふむ。気にするなという方が無理というモノ。ちゃんと話そう。」
博士が椅子をもう一脚出して来た。
それに座る博士。
葛西 「あのカードは……私を含めた六人の科学者が創造しようとしたゲームの名残。」
大和 「ゲーム?」
葛西 「マンガやゲームの技や能力を現実に使おうとする、バカげたゲームじゃよ。」
博士は遠くを見つめる。
回想でもしているのだろうか。
葛西 「それは皆の夢じゃった。研究も世間には極秘に進められとった。」
大和 「……何で全部が過去形なんです?」
葛西 「科学者の中に……裏切り者がいた。カードの軍事転用を企てた博士がいたのだ。」
博士は僅かに悲しみのような、怒りのような表情を浮かべた。
大和 「確かに……あのカードなら容易でしょうね。」
葛西 「他の科学者達も行方知れず。残ったのは裏切りの科学者が作り上げた組織だけ。」
大和 「組織?」
博士は少しコーヒーを口に含んだ。
一息挟んで話を続ける。
葛西 「新たなる時代の先導者……通称『ネクス』。我々が倒すべき敵じゃ。」
ネクス。
おそらく……俺は途方も無く遠い世界に首を突っ込んでいるらしい。
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