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学校は無事に終わった。
しかし外は雨。
予報では降水確率0パーセントだったのに。
「ヤマト……傘持ってるか?」
「持っていたとしても……お前と相合い傘はゴメンだ。」
雪野冬夜(ユキノ・トウヤ)。
幼稚園から高校まで同じ。
ただの腐れ縁だが。
冬夜 「お前……ホントに部活入んないの?」
大和 「当たり前だ。あんなダルいのやってられっか。」
冬夜 「おい……。俺が負けっぱなしで終わるだろうが。一試合だけ俺とやれ。」
二人とも中学から剣道部に入っていた。
冬夜はいつも大和に負けっぱなしだったのだ。
大和 「断る。」
冬夜 「その返事を断る。」
大和 「またむちゃくちゃな……。」
傘も無く、雨に立ち往生している二人を見る視線。
クラス一の美少女だ。
名は麗花。
『麗しい花』……見た目は確かにそうだ。
麗花 「お?二人共傘無いんだ?」
大和 「そっちは?」
麗花 「えへへ……。二本あるよ。仲良く帰るなら貸してあげてもいいけど?」
大和 「じゃあ要らん。」
冬夜 「どんだけ嫌がってんだよ……。そんなに俺がキライか?」
大和 「変な言い方するな。気持ち悪い。」
麗花 「あーハイハイ。傘は要らないワケだ?」
ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべている。
実はコイツも幼なじみだ。
まったく……南ちゃんみたいな幼なじみが欲しいよな……。
大和 「……分かったよ。」
麗花 「じゃあ傘貸してあげるから、今年中の私の昼飯代は二人持ちで。」
冬夜 「ちょっ……!」
いつもこうなる。
そういえば……最近は特におかしい気がする。
独り言しゃべってたりとか……上の空だったり。
変なのが普通なのであまり気にしていないが。
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