始まりの古本屋

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麗花 「え~?そんなのもできないの?」 冬夜 「……戦う……アイテム……逃げる……財政破綻。」 大和 「迷うな。逃げるぞ。」 雨が降っている中、カバンを傘にダッシュした。 麗花 「もう……。」 十数分走った。 もう麗花からは見えない。 安心して雨宿りできそうな屋根を見つけて潜り込んだ。 冬夜 「麗花って……いつからああなったんだっけ?」 大和 「最初からだろ。」 小学校の時から。 あいつに頼み事をするとろくなコトにならない。 冬夜 「……アレ?」 大和 「どした?」 冬夜 「ここ……古本屋じゃん。」 雨宿りしている屋根に『葛西古書店』と書いてあった。 大和 「こんなトコに古本屋なんてあったか……?」 冬夜 「まあいいじゃん。ちょうど雨止むまでヒマだし。」 店へ入って行く。 確かに店先に立たれても迷惑だろうし。 冬夜 「へぇ……。」 大和 「マンガは置いてないみたいだけど?」 冬夜 「バーカ。俺がマンガしか読まないようなアホに見えるか。」 大和 「アホだろ。」 冬夜 「………」 言葉を失っている冬夜は放置して。 とりあえずサッと本棚を見る。 冬夜 「こういう難しそうな本の裏には……!」 大和 「……医学書だな。」 何とか理論の本を退けると、後ろからは分厚い医学書。 冬夜は何を期待していたんだろう。 冬夜 「はぁ……。なあ、早く出よ。」 大和 「出てどうするんだ?さっきより雨強くなってんぞ。」 冬夜 「……はあ。」 溜め息をつきながら無気力な目で本棚を眺めている。 俺は何か面白そうな本は無いかと探していた。 大和 「……何だこりゃ。」 俺の目に留まったのは『超魔術大全』。 物々しい見た目……まるで秘蔵図書のようだ。 大和 「……まあ話のネタにはなるかな。」 その本を手にした。 その瞬間……。 大和 「……!?」 背筋も凍りつくような悪寒。 何かに見られているような気配が背後からしていた。
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