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大和 「………」
動かない、いや動けない。
しかし数秒後。
気配は消えていた。
大和 「何だ……今の……?」
振り返るが、何もいない。
手にした本にも何の変化も無かった。
大和 「……気味悪いな。」
そのまま本を戻した。
やはり嫌な予感がする。
大和 「……ん?」
本の間から何かカードのような物が落ちた。
虎を模したカードゲームだ。
大和 「懐かしいな……こういうの昔流行ったよなぁ。」
回想に浸るが、すぐ現実に戻った。
大和 「虎……か?今はこういうのが流行ってんのかな?」
冬夜 「お?雨止んだみたいだぞ?」
カードを見ていると、横から冬夜が現れた。
大和 「……そうか。」
冬夜 「ん?何ソレ?」
拾ったカードを見せる。
やはり知らないという反応。
冬夜 「でも小学ん時に流行ったよな。こういうの。」
大和 「必死に小遣い貯めて買って……んでザコばっかりで。」
冬夜 「流行が終わったらただの紙なのにな。」
なんだか懐かしい。
このカードもそういう子が買ったのだろうか?
冬夜 「……なぁ。」
大和 「何?」
冬夜 「今って流行のカードは店で買い取りしてるよな?」
大和 「……拾いモンを売れと?」
冬夜 「どうせ持ち主が現れたりって事は無いんだからさ。」
大和 「やれやれ……。でも少なくとも何カードなのか分からないとな。」
冬夜 「……そうだな。……左上の『602』って何だ?」
大和 「さあ?帰ったらネットで調べたらいいじゃねーか。」
拾った謎のカード。
この一枚が……俺の常識と人生を変えていく事になるなんて。
今は何も知らずに冬夜と歩いていた。
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