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私が恐る恐る手を差し出すと警戒するようにフーフーと怒りだした。
「大丈夫だよ。今助けてあげるからね」
そんな私の言葉も届かず、子猫の鋭い爪でひっかかれた。
「痛い」
思わず大きな声を出してしまった。手の無数の傷からは、血が滲み出している。だがこの子をやぶの中に置いて帰る訳にはいかない。ひっかかれてもいい、どんな傷になってもいつか治る。しかし、この子は自力で生きていけない、迷子もしくは捨てらた事によって出来た心の傷は、直らない。そう思った私は、両手を強引にやぶの中に入れ、子猫を素早く抱き寄せた。
「この子は、私が守る!」
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