会えるだけで

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「食べてるよ…」 「嘘つくなよ。また痩せたろ」 「…知らない」 「またバイト増やしたろ。抱くと骨が痛…う゛ッ!!」 言葉を聞き終わる前に俺は肘で後ろの奴の腹を思いきり突く。 うずくまってるうちに立ち上がり、帰り支度をする。 携帯をポケットに。 マフラーを巻いて玄関に進もうとしたらズルッとジーンズを下ろされた。 「…なに」 あえて無表情のまま振り向くと、奴はニカッと笑って 「お前来週誕生日だろ?何が欲しい?」 キュッ 不意をつかれた… 俺は思わず唇を噛んだ 「…いらない」 「なんでだよ!」 「いいよ。いらない」 「俺がなんかやりたいんだから良いだろ!」 「…」 「…誕生日の日に会って。それで良い」 考えたすえ、今俺が一番欲しいものは目の前の恋人。 会う約束。 それだけで十分だ。 「それじゃいつもと変わんないだろ!とりあえず来週までに考えとけよ!」 「…」 俺が困った顔をすると長くてたくましい腕が伸びてきて、抱きしめてくれる。 「また来週な」 額にキスされる 「…ん」 俺は少し照れながら手を軽く振って外に出る。
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