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「失礼いたします。」
部屋に入ってきたのは女官。
「ダルヴァン様、ラーク侍従長。あと10分ほどで姫君様方との食事会でございます。ご用意を。」
時刻は11:50。12時から始まる食事会の会場である大広間へはラークの自室から歩いて5分。寝間着姿の王子が正装に着替えるのに必要な時間は7分。
「間に合わないじゃないでず…が…ッゴホッゴホッ!」」
「ラーク、お前は寝てろ。おい、女官。名は?」
王子を呼びにきた女官の顔が赤くなる。この城にいる女官にとって王子は憧れどころではないのだ。
「え?!あ、クロアと申します!」
王子はクロアに近づき、彼女の顎をクイッと上げる。
「今日だけ俺様の側にいろ…。」
真っ赤な顔を更に赤くした女官の表情を見て、意地悪な笑みを浮かべた王子は「早く来い」と言い残し、ラークの自室を後にした。
それを見ていたラークとナウル。
「ダルヴァン様は…罪なお方でございますね。」
「まったくでずよ…。あの性格どうにがならないものが…ゴホッ。」
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