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「わたくしはリエと申します。倭の国からやって参りましたわ。わたくし琴を弾けますの!どうぞ今夜寝所へお呼びくださいまし。」
「あたくしはアレキサンドラと申しますわ。国では女神のような美しさと言われておりましたの!今晩の伽はあたくしになさりませんか?」
「あたくしは「わたくしは「わた「王子!「寝所へはわたくしを「王子…ッ」」」」」」
「美しい女といえど、やはり気品やしとやかさがたりんな。」
職務の為職務室へと移動した途端の愚痴。
「あれは美しい女の皮をきた野獣だ。誰だ、あんなのを連れてきた役立たずは。ラーク。」
頬杖をつきながらじっと彼を見つめる。
そしてにやにやしながら「誰だ?」ともう一度聞いた。
「わたくしです、王子。」
ため息をつき、うなだれたようにラークは返事をした。
こんなことは日常茶飯事。[またか]。そんな意味のため息だ。
「ラーク。お前は俺の話を聞いていたのか?それとも…、しとやか、気品の意味がわからなかったのか?ん?」
机から離れ、身長が割と低めなラークの目の前でしゃがみ上目づかいで首をかしげてみる。
「…王子。明日選考会をしてはいかがですか。」
「話をそらすな、役立たずめ。」
「~ッ!申し訳ございませんッ!」
「で?選考会とは何だ、役立たず。」
「お気に召さない姫君方とお気に召す姫君方を分けるのです。お気に召さない姫君方には申し訳ございませんが自国へお帰りになっていただいてはいかがでしょうか。」
王子は[あぁ~。それがあったか。]という表情で机に腰掛ける。
「役立たずからの昇進を認めよう。これからお前は知恵袋だ。」
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