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「旦那様?」
反応しない武章氏に信実はもう一度声をかける。
「百合華ーーー!!」
と叫ぶと武章氏は百合華嬢に駆け寄り、抱きしめ人目も憚らずに泣き出した。
「可哀相にこんなに痩せてしまって…。何もしてやれなくてすまなかった。もう辛い思いはさせないからな。」
泣きながら武章氏は語りかける。
『あの…』
泣き付かれ当初呆然としていた百合華嬢が急に険しい顔付きになった。
『私は自分で自分が可哀相だとか、辛い思いをしたとか思っていません。勝手に決め付けたりしないで下さい。』
それまで泣いていた武章氏は驚いた表情で固まり、笑みを絶やさなかった信実もその言葉には目を見開いた。
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