23人が本棚に入れています
本棚に追加
「というわけでございます、百合華様」
信実は笑顔のまま事の成り行きを説明した。
『なーにが「というわけです」よーー!?
状況説明もなしに連れ出して、何考えてんの?!』
「憚りながら私は百合華様をお起こししようと声をかけました。
ピクリともされず眠り続けたのはお嬢様ですが?」
(作者注:百合花は一度眠ると、隣でどんなに物音をたてられようと朝まで起きません。)
『ぅっ…。
だからって夜中に無理をして連れ出さなくてもいいじゃない!』
「旦那様が一刻も早く百合華様をお屋敷へとお望みでしたので。」
信実の飄々とした態度に、百合花は戸惑いというよりも少しずつ苛立ちをあらわにしていく。
.
最初のコメントを投稿しよう!