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『第一本当にあたしがその娘だって証拠はあるの?!人違いだったらどうすんのよ!』
「これだけ瞳様に似ていらっしゃれば間違いないだろうとの旦那様のご判断です。」
『そもそもこの屋敷に行く行かないというあたしの意志は尊重してもらえないわけ!?』
「旦那様が
『瞳に似た娘であれば私の言うことなど素直には聞くまい。問答無用で連れてこい。』
との仰せでしたので。」
一気にまくし立てたため息切れしつつある百合花に対し、信実は笑顔も姿勢も1ミリたりとも崩れない。
『さっきから何もかもわかった風な顔して百合華百合華呼ぶけど、あたしは【百合花】です!名前間違えないでよね!』
隙も乱れもない信実に苛立ちを隠しきれなくなった百合花は、これでもかと言わんばかりに文句を叩き付ける。
が
「旦那様が久遠寺の苗字との釣り合いを考えられて、本日からは【百合華】と名乗るようにとの仰せです。」
百合華様、完敗。(初黒星)
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