それでも彼女が好きだから

氷の女王

人を好きになるのはいつも突然の事…
中には気付けば好きになっていたというのもある。

俺、東　舜(あずま　しゅん)はクラスの女子の一人に一目惚れをしてしまった。

高校２年のクラス替えでの事。彼女は他の女子とどこか違っていた。どこが違うのかは具体的にはわからない。ただ見た瞬間、他とは違うと思ったんだ。
背筋がぴんと立っていて、腰までとどく長い黒髪が艶やかで。
クラスの女子の中で髪を染めていないのはきっと彼女だけだと思った。
あまり笑顔を見せない大人しい子で、それはまだ新しいクラスに馴染めていないせいだと、初めは思った。けれど、そうじゃなくて…

彼女は、元々人と関わるのが苦手なのかもしれない。どう接したらいいかわからないというような感じで決して自分からは声を掛けずにいた。
かと言って声を掛けられても反応は冷たいものだ。返ってくる返事はそっけなく、一言二言。それでも周りが彼女を嫌な奴と判断しないのは彼女に魅力があるからだ。
彼女は孤独そうにみえて孤独ではなかった。
自分で言って酷いと思うが、意外にも彼女は男女に人気があった。
特に女子からの人気は異常な程。ファンクラブが実はあったりする程の人気。