大嫌いな男

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軽くふざけて言ったつもりだろう。 それが新井の性格だ。へらへらして面倒事を嫌い、自由気ままに生きている。 自己中心的と言っていいだろう。 自分が楽しければいい、相手がどう思おうが自分さえよければいい。 新井はそういう人間だった。 優はそんな新井が大嫌いだった。 何をしても許されると思っている新井の考えが大嫌いだった。 新井の家が人並みから少し離れた環境で育ったのも原因なのかもしれない。 一般家庭より少々金持ちの家柄で、きっと新井は親から沢山甘やかされて育ったのだろう。 甘やかされる人間は皆自己中心的な考えを持つ。 金持ちの家に住んでいたら、自分は周りと違う事に気づく。そして自分は特別な存在だと、上から目線で一人悦に浸るのだ。 そうして傲慢になっていって最後に行き着く先は永遠の孤独。 誰も自分をわかってくれず受け入れてくれずに孤独という闇に犯される。 しかしそこだけは新井は違った。 家が金持ちでも、上から目線で偉そうに振る舞っていない。 常に明るくふざけて、中にはそんな新井を嫌悪するクラスメイトもいるが、殆どは新井の事を受け入れていた。 友達になりやすい上に話やすい。気をつかわなくてすむ。 わからなくもない。 わからなくもないが… .
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