憂鬱は2番目の扉

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  ―ボロボロになって 地面に伏せる僕に手を差し延べてくれたのは誰だったろう   名前をくれた 色をくれた   好奇心を 覚えた   頭文字、その真実 僕の名前の頭文字は...―           まるで頭をなにか 重みのあるもので叩きつけられる様な   例えるならば、ブロックを上から落とされて 頭の上に積み上げられている様に 男の頭は痛みを感じていた     ああ この場に倒れたのは 何時間前なのだろう   そんなことを考えながら 時折もらす吐息は 憂鬱を訴えるようにも見える       「...そこで寝ていては、馬車に踏まれてしまいますよ?」   コツコツと軽く、軽やかに響く靴音をたてて スッと姿勢を低くし 自分に目線を合わせて語りかけてきたのが聞こえたが   それどころではないと言いたげに 男はまた吐息を吐き出してみせた    
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