始まりの始まり

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始まりの始まり

5月の暑い日だった。 その日は朝から夏を思わせる太陽が降り注いでいて、 私はクローゼットから、先日買ったばかりの小花柄のキャミソールと、白いクロップドパンツを出した。 19歳だった私は、肌の露出に微塵の躊躇いもなかった。 当時、キャミソールの重ね着が流行っていて、 私は流行に敏感なごくごく普通のOL。 私の住む街は、東京から新幹線で1時間の地方都市。 季節が変わる毎に東京へ行き、この地方都市にないブランドの洋服を仕入れる。 私は高校を卒業してすぐ就職した。 OL生活2年目。 高校は県内有数の進学校だったが、私は大学に行く目的を見出せず、就職の道を選んだ。 学年唯一の就職者だった。 勉強が出来なかったわけではない。 周りからは不思議な存在に見えただろう。
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