始まりの始まり

8/8
1725人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
「あ、あの、お店、私の勤め先から近いんです。よくお店の近く通ってて、前から気になってたんです。」 私は店長と久美の会話に割り込んだ。 「そうなの?じゃぁ、いつでも寄ってよ。」 「いや、なんか、ほら…、常連さんしか入れないような、入りづらいお店だから入る勇気がなくて…。」 「アハハッ。そう? 確かに入りづらいかぁ。黒づくめの店だしな。 でも、大丈夫だよ。 ほら、もう顔も覚えたし。 今度お店にも遊びに来て。」 「木下さ~ん。」 他の常連さんらしき人から呼ばれた店長は、 「あ、ごめんね。 また今度ゆっくり。」 そう言い残しその声のする方へ走って行った。 木下さんって言うんだぁ…。 「木下さんって言うんだね。」 久美も私と同じことを思ってたようだ。 「なんか、感じのいい人だね。」 私は無難にそう返し、他の車を見て回った。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!