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「俺が行くよ。国としてじゃなく、個人として」
そして個人として行くのならオルシエラからのサポートは受けられないが、悠斗は今や世界中に名を轟かせている『最強』を勝ち取ったオリジンだ。無碍にはされないだろう。
「言い訳くせぇな」
「うるさい」
文句を言うならば代案を用意しろ、と言うとケイトは素晴らしく素直に黙った。
「ワシも行こう。琴音と智世も来た方がいいじゃろう」
アルスティナとケイトは国の中枢。さすがに行くことはできない。
「…………」
ユリスが悠斗の袖を無言で引っ張る。言葉は無いが、このくらいなら流石に解る。
「ユリスも行くか?」
「ん」
コクリと頷く。頭の上のオルトが落ちそうになった。
「及ばずながら、それとなくオルシエラに交渉を呼びかけてみます」
「うん、お願いするよ。アル」
転移だとかといった便利なものは、オルシエラ方面には無い。
移動には少々時間がかかるだろう。
だが立ち止まるほどでも、迷うほどでもない、ささいな困難だ。
「行こう、オルシエラへ」
第二部
『終焉の狂想曲』完
最終章に続く
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