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「な、なんで?」
どもっているが琴音ではない、悠斗だ。
見ると琴音と智世も意味が判らない、といった様子でうろたえている。
「どうなっとるんじゃ?」
リリアが鳥居の様子を見て、少し迷ってから中に入る。
が、やはりというか、悠斗達と同じように、ただくぐっただけに終わった。
「魔力は感じるので、機能が停止したというのではなさそうですが……」
「例のドラゴンなら――って、鳥居くぐれにゃ会えねーか」
誰1人理解が追いつかないまま、どんどん可能性が潰えていく。
分からない、聞けない。どうしろと言うのか。
「わ、私達、帰れないの?」
琴音が不安そうに呟く。考えまいとはしていたが、まったくその通りなのだ。
リリアが以前発明した移動装置なら帰還はできるだろうが、あれは片道通行だ。
もし地球に行って、エル・リオールへの移動手段が見つからなかったら、それは永遠の別れを意味する。
それは、ダメだ。
「歴史書とかに何か書いてないかな?」
「世界移動なんて解明もされてないもの、本が在るわけなかろう」
ダメ元で言ってみた悠斗の提案は、リリアによって切り捨てられた。
だがその時、リリアが何かに気付いたように目を細める。
「歴史……そうじゃな、オルシエラなら」
「オルシエラ、ですか?」
聞いて、アルスティナがハッとなる。
「あそこはラーズバード、ルッケンベルンに対抗するために、残りのオリジンが結託してできた国じゃからな。世界移動の経験者が一番多い国じゃ」
何より人数が多い。ラーズバードやルッケンベルンは世界移動に興味を示さなかったが、他八人もいれば1人くらい興味をもって調べた人間がいるかもしれない。
「じゃが下手に兵を遣わせると、のう?」
「ええ、戦争に勝った直後に使者……悪い誤解を与えかねませんね」
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