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「ふぅ」
今日はこれくらいにしておくか、と小十郎は畑から離れ、手を洗いに行こうと立ち上がった
すると
フワリ
夕日に重なる橙が目に入る
ふと、その幻想的な何かに見惚れてしまった小十郎に橙の髪がサラリと揺れ、佐助が小首を傾げ顔を覗き込む。
「右目の旦那?」
はっ、と我に戻った小十郎が眉間にいつもの皺を取り戻す。
同盟を組んだにしてもどちら共々天下を狙っている事には変わりはない。
どうせはまた敵同士に戻る。
その意を込めて佐助を睨みつけた。
「なにさぁ俺様何かした?睨まないでよー」
ひょうひょうとしたように返す佐助を無視し、小十郎は手を洗いに行くと、その後を佐助がひょこひょこと歩く。
「何の用で来た」
「遊びに来たー」
「帰れ」
「独眼竜は?」
「何故政宗様にお前を会わせなきゃなんねぇのか、理由を言いな」
「居ないの?」
話が成り立たねぇ
はぁ…、とため息をつくと洗い終わった手で収穫した野菜を洗う。
「良く実のったねー
きゅうりとか茄子とか…
トウモロコシとか…
さっすが右目の旦那♪」
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