夕日(小十佐)

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「なんだ?お前も野菜が目的か?」 「ううん、今日は違うの、お前もって…誰か来たの?」 聞くと更に眉間の皺が濃くなる。 「…前田の風来坊。野菜を盗みにきやがってな」 なるほど、と頷いて心の中で(風来坊)可哀想と思い、染々していた佐助に声がかかった。 「お前の髪は何でそんな色なんだ?」 「へ?」 小十郎の太い指が佐助の橙の髪を撫でる。 不意に触られ驚いた佐助が「んっ」と声を漏らすと髪を触っていた指が少し跳ねた。 「すまねぇ」 ポツリ 呟く小十郎に佐助は「変わってるでしょ」と笑う。 「俺様生まれた時からこうだから… 嫌だね、忍なのにこんな色してさ」 ふ、と眉を下げて困った様に笑う。 「俺はその色…気に入ったがな」 夕日の様な朱に近い橙。 ソレに先ほど魅せられてしまったのを小十郎は思い出し、そっぽを向いて城の中へと歩きだす。 ポカンとしていた佐助もそれに気付き、 「嬉しいかも…」 と呟くと 茶でも飲んでけと声がかかった。 end
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