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答えない涼の父親に長谷川は、同じ質問を繰り返すが、涼の父親は返事をする事は無く、ただ時間だけが過ぎて行った。
妻と子供の方が勿論大事であり、田所との付き合いは深くなく、優先順位としては家族を取るのが当たり前だが、涼の父親は悪行を許せない思いもあり、家族愛と正義感の狭間で苦しんだ。
膝を付き頭を抱えながら考えていると、ある結論に行き着く。
「長谷川聞こえるか?」
スッと立ち上がり頭上を見上げながら叫んだ。
その顔は全てが吹っ切れた様に、清々しい面持ちをしていた。
「漸く話す気になりましたか?」
長谷川が呆れた口調で言い放つと、「あぁ…」とか細い声で答える。
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