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「何だ貴様は!」 「答える必要は無い」 「警備はどうした?」 「警備?ものは言いようだな。警備か。傭兵を警備員呼ばわりか。あんなの、片付けたよ。残ってるのはお前だけだ」 「ヒッ……やめ……」 「死ぬのが……怖いか?」 「助け……」 「人から金を奪って、自殺にまで追い込んで、お前は何人殺したと思ってるんだ?」 「し、知らん……私は仕事をしただけだ。そいつらが勝手に死んだだけだろう……」 「つまりお前は、自分の責任じゃあないと言いたいのか?」 「そうだろう!自殺ならば私の責任では無い。死んだ奴が悪いんだ!」 「呆れた。もう少し人間らしい所があるんじゃないかと期待した俺が馬鹿だったな」 「黙れ餓鬼が!馬鹿は貴様だ!奴等の犬め!」  机の裏にでも仕込んであったのか、コルトM1911A1を向けてくる目の前の老人。 「反省すらしてないのか」 「黙れ!まあ、自分が置かれてる状況をよく確認するのだな」  老人は、ガバメントの撃鉄を親指で上げた。 「俺を殺して何になる?今週中には地検の特捜部が家宅捜索にくるだろうな。どちらにしろ逃げ道は無い。諦めろ」 「地検など問題では無い。あいつらは単細胞だからな」 「お前、話が長いんだよ」  腰からベレッタM93Rを抜いて、そのまま目の前の老人を撃った。老人はそれ以上何も喋らなかった。 「悪いな。こっちも仕事なんだ」  落下した薬莢を拾って、部屋から出た。廊下には三人分の死体。エレベーターを使ってエントランスに降りると、そこにも死体が沢山あった。無論、片付けたのは俺。事後処理は組織の方で旨くやってくれる。だから、俺は与えられた任務をこなすだけで良い。そうして、今まで過ごしてきた。 「帰るか……」  何時も、任務のあとには何も無い。達成感すらない。あるとすれば、疑問だけ。 「こんなことしてなにになるのか」  疑問が頭の中を駆け巡る。だから任務の後は、報告を済ませて帰って直ぐに寝る。そうでもしないと頭が沸いてしまう。だから、エントランスの床や壁に飛び散った血と臓物、転がる人間の頭を尻目にして、建物を後にした。
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