エピローグ

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そして、駆緒流は眠りについた。もう二度と眼を醒まさないという事は重々承知していた。だけど、別れを告げる言葉は互いに言わなかった。私はお礼を言って、駆緒流もお礼を言ってきた。それが、駆緒流の最後の言葉だった。  彼が眠りについた瞬間、駆緒流がもう動かなくなった瞬間、意識していないのに勝手に涙が溢れてきた。この事実を知った時から、最後は泣かないで見届けようと思ったのに、今は泣いている。固く決意した筈なのに、今じゃこの様。大粒の涙が幾つも彼の頬に落ち、駆緒流が泣いている様にも見えた。でも、駆緒流は最後まで私に泣き顔を見せてくれなかった。弱い部分は見せても、決して泣きついてこなかった。これだけは少し残念だったかもしれない。 「…………………」
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