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「樹(たつき)~~‼」
遠くから名前を呼ばれ、俺は走っていた足をとめた。
すると、少し遠くにいたクラスメートが数人追いかけてくる。
そして名前を呼ばれた相手に向かって声をかける俺。
「なんだよ耕介(こうすけ)」
耕介と呼ばれた少年は、短髪にキャップをかぶっている。
いかにも小学生って感じだ。
「なぁお前今日広場来るか??サッカーしようぜ‼」
耕介は幼稚園から今までずっとクラスが一緒で、いつも一緒に遊んでいる。
サッカー・ドッヂボール・野球、何でもやれるから面白い。
そしてイタズラして一緒に怒られるのもコイツ。
いわゆる親友だ。
しかし…
「あー…わりぃ。今日行くとこあんだよオレ」
と、断る。
その瞬間、
「「「ハァっ⁉⁉⁉」」」」
耕介と一緒にいた奴らも一斉に声をあげた。
「ちょっ…おまっ…樹が遊びの誘いを断るなんてっ…」
「うわあぁぁぁ‼明日は嵐がくる~~ッ‼‼」
「地球が壊滅するーー‼‼」
「ノストラムスの大予言当たりっ⁉⁉」
………なんて、各々でほざきやがるから。
ゴンゴンゴンゴンッ‼‼‼〓
「っるさい‼」
と軽く殴っておく。
全く…しかも最後の奴…、それを言うならノストラダムスだろ…アホめ。
すると、
「でも樹君、最近広場こないよね??何か通い始めた??」
オレのコブシを逃れた唯一の男子が声をかけてきた。
名前は優己(ゆうき)。
おばあちゃんが外人らしく、色素の薄い髪に茶色の眼をしている。
優己は頭がいい。
耕介みたいなのとは正反対なタイプで、オレが殴る対象から外れている、珍しい男友達。
「あぁ…ちょっと「ばぁ~~か‼コイツが何に通うってんだよ‼」
オレが言うのを遮って、耕介がしゃべる。
「え??う~ん…塾とかお茶とか…??」
優己がおっとりと言う。
その瞬間、
「ぶっ‼あっははははッ‼‼樹が塾⁉ありえね~~~‼‼‼」
耕介達、殴られた組が爆笑する。
ゴンゴンゴンゴンッ‼‼‼〓
「うるっっせぇ‼‼テメェらにだけは言われたくないっつーの‼‼」
何となくムカついたから殴ってみる。
まぁ確かに、このオレが塾、ましてやお茶なんて有り得ない。
…優己んちは親がすげぇからな。
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