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「ったく‼」
一仕事終えたかのように、ぱんぱんっと手を叩く。
すると、
「もぅ、どこだっていいじゃない。それより樹ちゃん、さっき走ってたよね??急いでたんじゃないの??」
いつも一緒にいる連中の中で唯一の女子、
実利(みのり)が声をかけてきた。
黒髪を耳元で2つに結んでいる女の子。
実利とは小学校に上がってからの付き合いだ。
でも女子の中ではダントツで仲がいいと思う。
いつも一緒にいる奴らは男子が多いが、その中でも実利とはフツーに遊んでいる。
…ドラ○もんでいう、『しずかちゃん』的な存在だ。
「やっべ‼そうだった‼っじゃあな実利‼」
そう実利にだけ挨拶し、真っ先に走り出す。
やべぇやべぇ。
1日の授業が終わって、今は放課後。
でも早くしないと、すぐ門限の5時になっちまう‼
最近門限破って、母さん鬼化してるからなー。
「なぁんだよ~樹っ‼彼女かぁ~??」
………………プチ。
タカタカタカ…
ゴィンッ‼‼‼‼〓
「ぃってぇーーーーッ‼‼‼」
足早に戻り、耕介に最後の一発をお見舞いしてから、再び走り出す。
「わぁすごい…耕介君、大丈夫??」
うずくまる耕介を見下ろしながら、優己が呟く。
「もぉ、耕ちゃんったら…学習しなきゃ~」
続く実利。
「っつ~…ったく樹の奴‼なぁあいつ、最近変じゃねぇ??全っ然広場こねぇし…信じらんねー位」
キャップの上から頭をさすり、耕介が言う。
(…なんだ……樹…あいつ一体何やってんだ??)
最近の相棒の態度の変化に対して、ぼそっと心の中で呟いてみる。
「ばかね~。樹ちゃんにも色々あ・る・の‼」
ふふっと意味ありげに笑う実利。
…そんな実利の心の中がこちら。
(最近の樹ちゃんの目の輝き‼みんなに隠れて何かに通ってる行動‼間違いないっ‼樹ちゃんは恋☆をし・て・るっ‼きゃ~っどうしよっどうしよっ‼)
何だかいい気分のしない耕介をよそに一人盛り上がる。
……妄想力の強い実利。
そして、
「うぅ~ん…塾でもお茶でもない…か。もしかして………………………………お花??」
ズレてる優己。
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