1.慎之介

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. 「ったく‼」 一仕事終えたかのように、ぱんぱんっと手を叩く。 すると、 「もぅ、どこだっていいじゃない。それより樹ちゃん、さっき走ってたよね??急いでたんじゃないの??」 いつも一緒にいる連中の中で唯一の女子、 実利(みのり)が声をかけてきた。 黒髪を耳元で2つに結んでいる女の子。 実利とは小学校に上がってからの付き合いだ。 でも女子の中ではダントツで仲がいいと思う。 いつも一緒にいる奴らは男子が多いが、その中でも実利とはフツーに遊んでいる。 …ドラ○もんでいう、『しずかちゃん』的な存在だ。 「やっべ‼そうだった‼っじゃあな実利‼」 そう実利にだけ挨拶し、真っ先に走り出す。 やべぇやべぇ。 1日の授業が終わって、今は放課後。 でも早くしないと、すぐ門限の5時になっちまう‼ 最近門限破って、母さん鬼化してるからなー。 「なぁんだよ~樹っ‼彼女かぁ~??」 ………………プチ。 タカタカタカ… ゴィンッ‼‼‼‼〓 「ぃってぇーーーーッ‼‼‼」 足早に戻り、耕介に最後の一発をお見舞いしてから、再び走り出す。 「わぁすごい…耕介君、大丈夫??」 うずくまる耕介を見下ろしながら、優己が呟く。 「もぉ、耕ちゃんったら…学習しなきゃ~」 続く実利。 「っつ~…ったく樹の奴‼なぁあいつ、最近変じゃねぇ??全っ然広場こねぇし…信じらんねー位」 キャップの上から頭をさすり、耕介が言う。 (…なんだ……樹…あいつ一体何やってんだ??) 最近の相棒の態度の変化に対して、ぼそっと心の中で呟いてみる。 「ばかね~。樹ちゃんにも色々あ・る・の‼」 ふふっと意味ありげに笑う実利。 …そんな実利の心の中がこちら。 (最近の樹ちゃんの目の輝き‼みんなに隠れて何かに通ってる行動‼間違いないっ‼樹ちゃんは恋☆をし・て・るっ‼きゃ~っどうしよっどうしよっ‼) 何だかいい気分のしない耕介をよそに一人盛り上がる。 ……妄想力の強い実利。 そして、 「うぅ~ん…塾でもお茶でもない…か。もしかして………………………………お花??」 ズレてる優己。
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