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それは桜もとうに散ってしまった春の終わり頃の話
?「美沙姫ーちょっと降りて来てもらえる?」
ふわりとブラウンの髪をたなびかせてアンティーク調の部屋へと顔を覗かせたのは、誰もが一度は憧れる要素を備え持った少女
少女ー姫野美沙姫(ひめの みさき)は首を傾げ、学生にも見える女性に話しかけた
美「どうしたの、沙織さん」
?「こらー沙織さんじゃないでしょ?小さい頃みたいにママって呼びなさい?」
美「…お母さんどうしたの?」
沙「もうっ照れちゃってー!あのね、パパの転勤が決まったの」
美「え?」
沙「行き先はなんとア.メ.リ.カ!」
美「え?え、ちょっと待ってアメリカって…!せっかくこっちの高校に慣れてきたばっかりなのに…!?」
沙「だってパパと離れるの寂しいし…」
だ、だってって…!大人気ない言い分に呆れて瞬きを繰り返していたが、このままじゃ連れてかれると我を取り戻す
美「だからってアメリカは行きたくないよ…!」
言い切ったあたしにお母さんはきょとんと見つめ返してくる
…かと思ったらにっこりと笑みを浮かべ、待ってましたと言わんばかりの声色で口を開く
沙「そういうと思ってたー!それでね、実は空海叔父さんが学園長をやっている高校があるんだけど…今の高校と同じくらいのレベルの!」
美「……そこに行けって事?」
沙「そう!空海叔父さんが『美沙ちゃんだったら転入試験もしなくていいよ』だって!」
………は?
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