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風『いつまで意地を張られるおつもりですか』
美「意地なんかじゃない」
風『意地でもそうでなくとも、了承されたのはお嬢様です』
美「、分かってるわよ」
風『…よろしくお願い致しますよ』
やけに感傷的な声で言うのは、彼は姫野財閥、お祖父様に恩を感じているからだろう。
そんなこと、ずっと前から分かってる。
美「…姫野のためにね」
風『いえ、お嬢様のために、ですよ』
……よく言うわ。唇を噛み締めて吐きすてる。
美「あなたのそういうところ、嫌いよ」
風『…存じております』
存じないで直して欲しいんだけど。
美「なんで、あの人だったの」
風『何故、と言われましても困りますね』
美「でもお祖父様は詳細は風間に、って言ってたわ。それはあなたの方に答える義務があるって事でしょう」
風『…そうですね。あの方だったら、美沙姫様がより幸せになると思ったからですよ』
美「だから、その基準を聞いてるんだけど。ーーーー"須賀(すが)"家って、確かに大きな企業だけど、確か元から友好的でしょう」
風『それはそうですが、紙の上だけの契約とは話が違いますからね。それに、友好的だからこそお嬢様のためなのですから』
美「…あの人不憫ね」
きっと本人に言ったら笑ってそんなことない、と言われるんだろうな。
風『それは、ご自分の事ではなくてですか?』
美「……ちゃんと連絡取るわ、じゃあね」
風「体育祭、どうぞお身体にお気をつけて。私も観戦に、」
美「絶対来ないで」
風「言われると思ってましたよ。それではごゆっくりお休みください」
最後まで聞き終わらないうちにブチッと切り携帯をベッドへ放り投げる。
美「…あなたがかけてこなければゆっくり休めたわよ」
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