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それを見ていた紫苑が腰に差した二振りの抜きながら、ゆっくりとした歩みで壁へ向かう。
「何をする気ですか?」
「道を開く―――似たような状況にはしょっちゅう陥るので案外慣れてる」
ため息を吐きながらダランと手を下げた自然体で構える。
その瞬間、紫苑の雰囲気が一転し、それにフェイトが圧倒され、ギンガの身体を強く抱き寄せる。
そのまま視線を落とし、ギンガの様子を見ようとしてその服の一部が赤く染まっていることに気が付く。
「ギンガ、怪我してるの!?」
「えっ? いえ、してません」
ギンガはそう答えながらフェイトの視線を追い、自分の服の右側が赤く染まっていることに気が付く。
何故今まで気が付かなかったのか不思議な程ギンガの服は赤く染まっていた。
「じゃぁ、この血っ―――!」
フェイトが慌てて顔を上げると、ギンガも同じ結論に達し、二人が紫苑に視線を向けると、紫苑が持つ紅と蒼の刀を伝い、血が滴り落ちていた。
紫苑の息は荒く、肩で息をしながら、汗を流している。
「二之秘剣―――」
紫苑を止めようとした二人が、透き通るような声に逆に止まってしまう。
刹那、紫苑の呼吸が安定し汗が引く。
「新月」
甲高い金属音が鳴り響くが何の変化も起こらず、フェイトが動こうとした瞬間―――
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