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Side Ginga
「新月」
透き通る声と共に甲高い金属音が鳴り響く。
少しの沈黙、それを破ったのは私でも、ハラオウン執務官でも、紫苑と名乗った少年でもなかった。
軽い音と共に直径1m程の円形に細切れにされ、内側に崩れていく壁だった。
「「すごい」」
私たちの声が重なる。
剣を振る勢いで散る血は花びらのように。
風に舞う純白の髪は汚れを知らず。
開かれた双眸は遥かな空を―――
そう、私、ギンガ・ナカジマは確かにこの瞬間―――――全てを忘れ、この完成された絵画のごとき光景に心を奪われていた。
私の記憶はそこで途切れることになり、そして私が彼と再び再会するのは数ヶ月も後になる。
Side Out
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