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「あはは、うん。気持ちはわかるよ」
ティアナたちが叫んだ理由を聞いたなのはは笑いながらそういった。
「さて、紫苑の年齢詐称疑惑は置いといて―――預かっていたデバイスを返すね。シャーリー」
さりげなく酷いことを言いながらなのはが自分の後にいる女性に話し掛ける。
紫苑の頭にわかりやすい怒りマークが浮かんでいるのをなのはは汗をかきながら見ないようにしている。
「はい♪あっ、私はシャリオ・フィニーノ一等陸士。六課の通信主任で」
「皆のデバイスの面倒も診てくれるから仲良くしてね」
「「「「はいっ!」」」
「シャーリーって呼んでね♪―――それで今返したデバイスには訓練用にデータ記録チップを組み込んでるからね」
シャーリーが説明をしながら紫苑たち五人に取り出したデバイスを渡していく。
「紫苑」
「なんだ?」
「『北斗』なんだけどまだ『セキ』しか使用できないから」
「『セキ』なら問題無しだ。データを揃えて追加していこう」
剣に似たロザリオを手渡しながら申し訳なさそうに言うシャーリーに紫苑はそう答えながらロザリオを受け取る。
「各自、自分の相棒は貰ったね。じゃぁ、訓練を始めよっか?」
「ここでですか?」
今いる場所はそれなりに広いが訓練をするには狭すぎる。だが他にはティアナたちの後に広がる海だけしかない。
紫苑を除く四人の疑問をティアナが代表して尋ねたるとなのはが笑う。
「ふふ、それはね」
「なのはさん完全監修で造られた驚異のシミュレーターをとくとごらんあれ!!」
かなりハイテンションなシャーリーがなのはの言葉を引き継ぎ手元のパネルを操作する。
すると海上に市街地が現れ、それにティアナたち四人が驚く。
「どう! 凄いでしょ!? これぞ六課の誇る空間シミュレーター!」
「「「おぉ~~!」」」
「凄い」
それを見て驚く四人に満足そうに笑っている。
「ノリノリだね」
「やれやれ。もう少し落ち着けばいいものを」
そんなシャーリーを見てなのはと紫苑がため息を吐く。
「紫苑の一言が余程悔しかったんだね」
「俺の?」
「紫苑、これ見たとき『何だ、この程度か』って」
その言葉に紫苑が再度ため息を吐き、なのはは困った笑いを漏らした。
訓練が始まったのは5分も経った後だった。
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