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大きな音を立てて巨大な鎧が地へと落ちる。
「これは―――」
「アイツが勝ったと言うことだろう」
赤い戦場の至る所で中身がないのに動いていた鎧がその活動を止め、鉄の塊へと戻る。
その鎧に囲まれていた五人の男たちの中の野太刀を持った男と大剣を持った大男が、その光景を見ながらそう話していると遠くから何かが崩れる音が響き渡る。
「何処に行く気ですか?」
「あそこにはアイツがいんだよ!」
駆け出そうとする赤毛の少年をフードを被った男が線の細い男が止める。
「『門』は既に崩壊しています。それにも関わらず連絡がないのは―――」
「まだカードが生きてる! アイツがそんな簡単に死ぬか!」
少年の手にあるカードを見て男は考える。
「捜索は後に、今はこの戦いを終わらせるのが先です。王が倒れたと言ってもまだ敵は居ます」
今すべきことを少年も理解しており、唇を噛みながら崩れ落ちる洞窟から視線を外す。
そして杖を握る手に力を込め、残っている異形へ向かって行った。
数ヶ月後、魔法世界を炎に包んだ大戦は終結するが―――白い髪の少年の姿は何処にも無かった。
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