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Side ???
肌を焦がす熱気によって意識が覚醒する。
呼吸が辛いのは肺―――というより体中に穴が空いているからだろう。
意識が闇に引きずり込まれそうになるが激しい痛みがそれを阻止してくれた。
「―――は?」
目を開け、映し出された光景に思わずマヌケな声を出してしまう。
そこは近代的な建物のロビーだった。さらに言えば至る所で火の手が上がっている。
間違いなく火事。
それも大火災真っ只中である。
自分はたしか、創られた世界の古城で蝿の王と血戦を―――
「―――っ」
そうだ最後の最後、ヤツは俺に対して転移魔法を発動させた。
場所の指定がなく、不安定な状況で行われた強制転移。しかも世界を移動するような上級の転移魔法である。
どんな世界に転移したのだろうか?
建物から文明は発達していると解る。だが、文明を築いた者たちが、自分と同じ人の姿をしているとは限らないし、友好的だという保証もない。
「つぁ」
俯せになっていた身体を決死の思いで身体を動かし、仰向けなると脚のホルダーに入っていた小さな本を抜き取る。
刹那、それは僅かに光る液体が入った小さなフラスコへと変わり、上部を指で砕くとその中身を胃へ流し込む。
呼吸が楽になり、痛みは走るが身体が動かせるようになる。
「1割、いや7分か? 表面の傷と肺の穴が塞がっただけでもよしとするか」
一番酷かった左手は相変わらず反応が鈍いが、戦闘が無ければ問題はないだろう。
身体の調子を確かめ、動けることを確認すると逃げるために立ち上がる。
「―――――」
「女の子の声?」
立ち上がり、逃げ道を探していると遠くから女の子の声が聞こえた。
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