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その眼に宿るは不屈の光。フェイトの幼なじみで親友である高町なのは、エース・オブ・エースとも呼ばれる彼女と同じ光だった。
だがその光は彼女より遥かに強く、そして鋭かった。
「脱出しないのか?」
「あっ、先導します」
その眼に思考を奪われていたフェイトが、少年の言葉に現実に引き戻される。
少年たちを引き連れ脱出しようとした瞬間、振動と共に崩落が起こり出入口が全て塞がってしまう。
「そんな!」
「今の振動は―――爆発ではないな。どっかの馬鹿が後先考えずに建物全体に影響がでる行為でもしたか?」
揺れる建物を眺めていた少年が頭を振り頭に乗っかった破片を振り落とす。
それを見たフェイトが移動して少年の頭に付いた破片を払い落とし、少年は抵抗することなくそれを受けている。
「君、何歳?」
並んでみて少年が思っていたより小さいことに驚き場違いな質問をしてしまう。
「薮から棒だな。たしか――――――――――――――――――――十歳?」
「その間はなに!?」
少年が長い間を空けてから答えた答はなぜか疑問系だった。
「十歳、十歳だよな?」
「私知らないよ!?」
自分の年齢を逆に尋ねる少年に対して思わず普段滅多に出さない大きな声を出してしまう。
そんなやり取りをしているとクスクスと笑い声が聞こえ、フェイトと少年はその発生原である少女へ視線を向ける。
「す、すみません」
視線を向けられた少女は謝るがその笑いが止まることはない。
その笑いを見て少年が僅かに、だが確かに、優しい笑みを浮かべる。
「いや、構わないだろう? 女の子は笑顔が1番だろ」
「あっ―――」
少年の言葉に少女は顔を赤くして、俯いてしまう。
少女の様子に気が付かない少年は言葉を続ける。
「君の名前は?」
「えっ?」
「名前だ。俺は東雲紫苑」
「ギ、ギンガ・ナカジマ。陸士候補生です」
少年――紫苑の言葉に反応し少女――ギンガが名乗ると紫苑はそれに短く満足そうに頷くとフェイトに視線を向ける。
同時にフェイトへギンガを差し出す。
「時空管理局のフェイト・T・ハラオウン執務官です。そっか、ギンガは未来の同僚だね」
ギンガを受け取りながらフェイトは優しくギンガへ話しかける。
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