序章

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フロードは詐欺師なのである。 人間にはもともと、幸福なエピソード(人生)しかもたらされていない。そこでフロードは、ひとりひとりの人間に憑く、幸福を司る妖精、いわゆる守護霊のようなものを詐欺によりはぐらかし、錯乱させることで時に人間に不幸をもたらしているのだ。 そしてリリック。彼女が毎朝祈りの歌を捧げることで彼らの世界に朝日が昇る。 「仕方ないですよ、これが定められた運命なんですから」 「そんな運命やー」 リリックはフロードの眼鏡をそっとはずす。フロードは苦笑した。
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