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緊張の糸が切れたのか、腕の中の小さな体は震えていた。
貴女は強いようで弱い。
私は罪に汚れた身だけれど、脆い、脆弱だとレンが言うから
私がずっとそばに居ましょう。だから貴女も私の傍を離れないで。
立ち上る匂いと揺らぐ感情を誤魔化すように
抱きしめる腕に力をこめる。
『ギル…っ苦し…』
「私は昔、ある方を愛してしまい、ここに堕ちて来たんです。
平等でいなければならなかった私が、一つの物に執着してしまう…
罪な事であり許されなかった事なんです」
顔は見えないが悲痛なギルの声に蜜は耳をすませた。
昔、愛した人のこと?
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