山手線車内(現在に戻る)

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匠の心の声「……その品川駅を起点に、それぞれ別の道へと歩み出す……田端から品川駅まで、わずか30分の時間が、僕にとって至福の一時なのである……」 発車ベルが鳴り止み、ドアが閉まる。 山手線、京浜東北線ともに動き出す。 それに従って彼女の顔も次第に小さくなっていく。 それを匠、名残惜しそうに見つめている。 匠の心の声「今日も彼女と、ここでお別れだ……無論、彼女が何者で何処で降りるかなんて知るよしもない。唯一判っている事は、毎朝、同じ時間で同じ車両で同じドア側に立っている、ただそれだけだ……」
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