山手線車内

2/2
前へ
/43ページ
次へ
息があがっている匠。 呼吸が乱れているのを隠すかの様に、左側のドアにへばりつく。 匠、安堵のため息をつく。 匠の心の声「ふぅー。良かった、間に合って」 電車が次の田端駅へ到着する。 すると同じホームの反対側に、京浜東北線が入って来る。 発車ベルが鳴り、ドアが閉まる。 山手線、少し遅れて京浜東北線が走り出す。ぼんやりと外の景色を眺めている、匠。 京浜東北線、山手線に追い付き並びかける。匠の目に、京浜東北線の乗客の顔がはっきりと映る。 京浜東北線は山手線と違い、満員に膨れ上がっている。 匠の心の声「向こうは大変そうだなぁ……ご苦労様」 匠、呑気に並走している、京浜東北線を眺めている。 ふと、匠の目がある一点に集中する。 匠「!」 黒髪の綺麗な純和風の女性、石川恵利(24)である。 匠「……(言葉を失う)」 匠の心の声「衝撃的だった……僕は生まれて初めて、一目惚れというものをした……」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加