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「ひっぃ、うえぇ…うぐ」
私のもう泣いているのか、鳴いているのか解らない様な声が静かな教室に響く。
埃っぽい教室内には机も椅子も無くて、私ともう一人の人物は床に座り込んでいる。まだ新しい制服が汚れるのなんて、別にどうでも良い
「…まぁ…その、ご愁傷さま?」
先にこの教室でサボっていたらしい男の子は、学年章を見ると三年生の物だった。
いきなり教室に入って来た女の子が号泣したのだから相当驚いただろう。けど、この先輩は何も言わずに座っていた場所からも動かず此処に居た。
「見て、た?」
しゃくりあげながら私がそう聞くと先輩は凄く困った顔をしながら笑った。
その顔が本当に申し訳なさそうだったから、文句を言う気も起こらなかった。勿論、恥ずかしいとも思わなかった。この散々な泣き姿を見られているのだから。それ以上に恥ずかしいものなんて無い。
「あんまり落ち込むなよ?」
「落ち込まない訳ないでしょ!2年半も片想いしてたんだから!それにこの高校に入ったのだってぇ…ェ…」
少しだけ治まっていたはずの涙がまた込み上げてきた。今日、フラれた事で私がこの高校に入学した意味が無くなってしまった。
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