想いは時に、

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「ハ、ハオ様ιえーっと…」 体育館裏は校舎が違うから遠回りして行かなきゃいけないため、思った以上に来るのに時間がかかった。 案の定、葉は怪我を負わされていた。 皆が目を丸くしている。僕達が来るなんて予想外だったのだろう。 「葉!!大丈夫かい!?」 「お、おう。オイラは大丈夫だ。気にするな」 「気にするなって…」 気にしない方が無理だ。 体中傷だらけ。オマケに頭からは血が流れている。 「おい、貴様等。それなりの処分は覚悟しているのだろうな?」 「えっ…否、あの…」 「けっ!1人に多勢とは卑怯な奴等だな!!」 例え葉と面識が無くても正義感が強いからか、蓮やホロホロも流石に頭にきたらしい。 「ご、ごめん…なさいっ…」 「謝ってすむとでも思ってるの?」 「うっ…ひくっ……」 1人が泣き始めた。 面倒くさい。泣けばすむとでも思っているのだろうか。 汚れた心。僕の一番嫌いな物。 「ハオ…もう良いんよ」 「葉。でも…」 「オイラだって悪いところがあったんだ。皆、ごめんな?」 「葉…。」 周りは葉の言葉に驚きを隠せない。 自分がやられておいて謝る奴がいるだろうか。 取り巻きの女の子の中にはまだ不服そうな顔の奴もいて反省しているような態度では無かった。 「葉がこう言っているからこの件は公にはしないけど、次また手を出すような事があれば…わかるよね?」 「はい…」 「僕は心底君達に失望したよ。この際だから言わせてもらうけど何時もくっついて歩くのやめてくれないかな?迷惑だ」 「………。」 「わかったらさっさと行けよ。目障りだ」 「…ぐすっ……ひくっ」 皆走って逃げて行った。 少し強く言い過ぎたね。でも葉をこんなめにあわせておいて易々と帰す訳にはいかない。 葉はというと… 「気を失っているな」 蓮が介抱していた。 何て酷い様だ。 僕は彼女を抱えて保健室に向かった。 .
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