風は無口

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風は無口

「やっぱり…気持ちが良いな」 独り言を言っても聞かれない場所。 この場所は風が何もかもを無にしてくれる気がする。木々も只黙って僕の話しを聞いていてくれるような感覚。 そう、何もいらない。 只、この木々や風のように黙って隣にいてくれれば良いんだ。 「葉、大丈夫かな…」 「独り言何てキモいぞ。オイラは大丈夫なんよ」 「…!!葉!」 「へへっ!やっぱ此処にいたんだな!」 「休んでなきゃ駄目じゃないか!!アンナにだって…」 「ああ。体の事はハオのおかげで本当にもう大丈夫だ。アンナがこの場所を教えてくれたんよ」 「……。」 「…ι何だ?まさかオイラが来るとは思わんかったか?」 「う、うんι」 「ウェッヘッヘッ!嬉しい独り言だったぞ!気にすんな!隣、良いか?」 「…ん」 まさか来るとは思わないだろ?無理をするのは彼女らしいと言えばそうなんだけど…ι 何か言いたげに僕の方を見つめる。 彼女はすぐ顔に出すから分かりやすい。 「葉、何か僕に聞きたい事でもあった?」 「な、何でだよ…」 「もしくは何か言いたいとか」 「別に何も無いんよ!」 「言って」 「…っι嫌だったら答えなくて構わんからな?」 「…ああ」 「ハオってさ、オイラの事好きか?」 「…!?」 「否、恋愛感情とかそういうのじゃなくてな…。 只、アンナに全部聞いて、オイラこのままお前の側にいて良いのかが分らんのよ」 「……。」 僕は暫く黙ってしまった。早く答えなきゃって思っても言葉が出てこない。 葉の事は興味があるだけと考えいた。そうしてきた。 でも、実際はどうなんだろうか。自分で自分が分からない。勿論、嫌いな筈が無い。 彼女と関わって短い間に自分でも自分の心境の変化に気付いた。葉ともっと関わりたい、触れたいと思った。 それが恋愛感情なのかは僕には良く分からないから、下手な返答は出来ない。 でも… 葉には思ったままを隠さずに話したい。 そして考えこんだ僕はこの感情の答えを知った。 .
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