冷たさが沁みる

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─ガラガラッ スタスタと葉の家に上がり込むアンナ。彼女が葉の家へ行く際は呼鈴など必要無いらしい。 それにしても広い。まるで平安時代にタイムスリップしたかのようなお屋敷だ。 あの星が見える丘から20分程の山奥にある。僕の家も丘から近いから葉の家とは近所なんだろうけど、こんなに凄いお屋敷があったなんて知らなかった。 「…お邪魔します」 「さっさとしなさい。葉の部屋はこっちよ」 「……ι」 まるで自分の家のように案内する。 アンナは赤ん坊の頃からの幼なじみと葉に聞いてたから何となく羨ましい。 「葉、入るわよ」 「おお、アンナお帰り…ってハオ!?」 「やあ。お見舞いに来たんだ」 「ちょ…!!オイラこんな格好で…///」 「平気よ。お気に入りでしょ、そのジャージ」 「でも…」 「…ふふっ。気にしないで、葉。似合ってるから」 「……////」 「で、さっきお帰りって言ってたけどアンナは今日泊まっていくのかい?」 「何言ってんのあんた」 「ああ、言って無かったな。アンナもここに住んでるんよ」 「え?そうなの?」 「あたしは葉の青森に住んでいた婆様、麻倉キノに恐山で拾われたの」 「で、オイラにも母ちゃんも父ちゃんもいねえから、じいちゃん達に面倒見てもらってんだ」 「…いない?」 「ああ。母ちゃんはオイラを産んですぐ死んじまって、父ちゃんはオイラがまだ小さい頃に仕事の途中事故にあってな」 「…そうだったんだ」 「でもオイラにはじいちゃん達やアンナがいるから寂しくないぞ!もうアンナとは姉妹みたいなもんだな!」 「…そうね」 「だから、お互いに分かり合えるんだね…」 「ん?」 「否、何でも無い」 葉の事をもっと知れた分、アンナに少し嫉妬心を抱いた。 過去を話すのはやはり辛かったのだろう。あの葉でも少し顔が曇ったように見えた。 それでも、辛い過去を一緒に乗り越えてきたアンナは彼女にとってかけがえの無い存在だろう。 存在 彼奴等は自分にとってどんな存在なのだろうか。 このを事考えては度々胸が締め付けられる。 .
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